2020-04-18

支配者への愛(アダム・スミス)

アダム・スミスによれば、人々が権力者に従順なのは、利益への期待や処罰への恐れからではない。支配者への愛や敬意が身についているからだ。支配者の虐待に対する怒りが暴力に達すると、人々はすぐに後悔し、反対したはずの暴力によって、滅ぼした旧権力を再建しようとする。
Adam Smith on why people obey and defer to their rulers (1759) - Online Library of Liberty

英社会学者スペンサーによれば、自発的な交換が支配する平和な社会では、階級格差は存在しない。階級とはある集団が他の集団を暴力で支配し搾取するものだが、それが生まれるのは戦争が社会の特徴となってからだ。戦闘とそれを支える物資補給を行う必要から、階級は生まれる。
Herbert Spencer observes that class structures emerge in societies as a result of war and violence (1882) - Online Library of Liberty

英経済学者ジェームズ・ミルは、フランス自由主義派に基づく階級理論を発展させ、政治とは相争う二つの集団の闘争だと述べた。すなわち、収奪する「支配する少数」と、収奪される「従属する多数」である。特権を握る少数エリートから権力を奪わない限り、自由は獲得できない。
James Mill on the ruling Few and the subject Many (1835) - Online Library of Liberty

仏経済学者モリナリによれば、戦争で潤う政官軍エリートや軍事産業など支配階級のメンバーがよく組織されているのに対し、戦費を負う被支配階級はばらばらで組織立っていない。この状態が終わるのは、納税者と生産者が、支払いを強いられている多額の出費に気づくときだろう。
Molinari on the elites who benefited from the State of War (1899) - Online Library of Liberty

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