2018-10-25

北朝鮮の資本主義

市場経済は世界に平和と繁栄をもたらします。これは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の最中、日本政府も盛んに強調した真実です(政府によってガチガチに管理されたTPPが市場経済かどうかは別として)。そうだとすれば、朝鮮半島の緊張が緩和に向かうかもしれない良い兆しがあります。北朝鮮で市場経済が成長しつつあるのです。

北朝鮮経済は社会主義経済と経済制裁で壊滅状態かと思っていましたが、日経「経済教室」で三村光弘・環日本海経済研究所調査研究部主任研究員は「たびたび訪問して肌で感じる変化からすれば、ここ5年程度は毎年3~7%〔略〕ぐらいのプラス成長だったように思われる」と述べています。

北朝鮮は公式には社会主義計画経済のままです。しかし黙認ベースで存在する非国営部門や、国営部門と非国営部門の協働などから成長が生まれていると三村氏は推定します。

金正恩時代に入り、全国の協同農場で自らが担当する田畑の収穫高が分配に大きく反映されるなど、市場経済的な改革が実施されています。国営企業でも生産ラインごとに様々な工夫がなされ、さながら「社内起業ブーム」の様相を呈している企業も多いというから驚きます。

北朝鮮にひそかに生まれつつある資本主義はまだ小さなものかもしれません。しかしその成長を邪魔せず、「国全体を変える原動力」(三村氏)にすれば、朝鮮半島と周辺地域の平和と繁栄に道を開くでしょう。報復を招くだけの軍事圧力や経済制裁よりもずっと賢明な方法です。(2017/10/25

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