2018-07-11

自由が特権になる国

日本国憲法第22条は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」として、経済の自由を保障しています。「公共の福祉」による制限がどこまで認められるかは議論があるものの、間違いなくいえるのは、「自由が原則、制限は例外」ということです。

ところが日本の現実を見ていると、まるで逆に「制限が原則、自由は例外」であるかのような錯覚にとらわれることがあります。その典型が、地域を限定して規制緩和を進める「国家戦略特区」です。

加計学園問題では、特区の枠組みで同学園のみ獣医学部新設が認められたプロセスが不透明だと野党側は批判し、政府はこれを否定します。しかしそもそもこのような問題が起こるのは、教育、医療、農業といった分野を中心に規制の蔓延を許し、例外的にしか経済の自由を認めていないからです。

特定の分野とはいえ、規制が当然視され、自由がある種の特権になってしまっているともいえます。特権は必ず政治的腐敗の温床になります。

加計問題をきっかけに規制緩和を悪者扱いする風潮には、危うさを感じます。大切なのは、自由が特権になってしまっている日本のおかしな現状に気づくことです。(2017/07/11

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