2016-07-23

民主主義とジェノサイド

Hans-Hermann Hoppe, The Paradox of Imperialism(「帝国主義の逆説」)より抜粋。

国内経済に税と規制(tax and regulation)の負担が小さいほど、人口が増え、多くの富が創造される。政府はその富で隣国と戦争ができる。税と規制が比較的少ない自由主義国家は、自由でない国家を食い物にして、領域や覇権を広げることができる。

民主主義は支配する者とされる者(the rulers and the ruled)の区別をあいまいにし、市民と国家の一体化を強めた。民主主義国の戦争は観念的な争い、文明の衝突になった。解決しうる唯一の手段は文化・言語・宗教的な支配、征服、必要なら根絶である。

自由の基礎は私有財産制度(institution of private property)である。そして排他的な私有財産は、民主主義(多数決ルール)と論理的に両立不可能である。

第一次世界大戦前のドイツやオーストリア(Germany and Austria)は王制だが独裁国ではなかった。米国では反戦主義者は投獄され、ドイツ語は事実上禁止、ドイツ系市民は公然と嫌がらせされ、しばしば改名を迫られた。ドイツやオーストリアでこんなことはなかった。

米国で南部連邦(Southern Confederacy)が武力征服され、民主主義が勝利した後、政府はたちまちプレーンズ・インディアンを絶滅させた。民主主義は多民族社会では機能しない。平和をもたらすのでなく、紛争を促し、ジェノサイドの可能性を秘める。

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