2016-02-02

八代尚宏『新自由主義の復権』


「規制緩和は悪夢」のウソ


労働や医療をはじめとする規制緩和を強く主張し、既得権益を守る側から目の敵にされている著者の本。「市場の失敗」を是正する政府の役割をあっさり認めるなどやや物足りない部分はあるが、世間で喧伝される「規制緩和は悪夢」という主張が誤りであることを、批判を恐れず明確に説く。

<抜粋とコメント>

"夫と妻がともに働くか、あるいは定年後も働き続けるかなど、それぞれの家族の自主的な判断に基づく…所得格差は社会的に是正すべき問題とはいえない。"
# 政府が本気でダイバーシティを信じるのなら、画一化はやめて。

"サラリーマンが加入する厚生年金は、勤労時に高賃金であった者ほど高い保険料を負担し、給付額もそれだけ多い。つまり、勤労時の所得格差を引退時にも持ちこむ制度である。"
# 格差を是正するはずの制度が格差を固定。

"派遣法の規制緩和の目的は……労働者保護のためのILOが、欧州の高い失業率を改善するために、不安定であっても雇用機会を増やすことが必要と認識したことに基づいている。"
# 規制緩和は労働者いじめのウソ。

"官が利用者の需要を予測し、それに合わせて新規のタクシー台数を認可するという、社会主義経済そのものの論理"
# 政府は本音では社会主義が大好き。

"普通の市場メカニズムが、タクシーについてはまったく働かず、空車の山ができ、運転手の所得が大きく低下した。参入規制がなくなっても、タクシー料金の認可制が残されていた"
# 規制緩和の不徹底がまねいた悲劇。

*寸評はアマゾンレビューにも投稿。
*抜粋とコメントはツイッターより転載。

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