2025-04-30

法人税は労働者の敵

ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス(経済学者)

資本主義は賃金労働者の生活水準をかつてないほど向上させた。この幸福はすべて、貯蓄と資本蓄積の増加によってもたらされている。したがって、所得税や法人税のように、資本の蓄積を妨げ、資本の消耗さえも目的とするすべての政策は事実上、反労働者的であり反社会的である。
Wages, Unemployment, and Inflation | Mises Institute [LINK]
私有財産を制限し自由の尊重を拒む性癖は、政府機構を支配する人々の心理に深く根付いている。彼らが自発的にそれに抵抗することはできない。自由主義的な政府とは、形容矛盾である。政府は国民の一致した意見の力によって、自由主義を強制的に採用させられなければならない。
Governments Never Give Up Power Voluntarily | Mises Institute [LINK]

今日、多くの人がインフレと呼ぶのは、通貨供給の増加ではなく、その結果、つまり物価の上昇だ。インフレの結果にすぎない物価上昇と闘うという、無益で望みのない試みに取り組む人々は、インフレとの闘いを装っている。単に症状と闘うだけで、悪の根元と闘うふりをしている。
The Real Meaning of Inflation and Deflation | Mises Institute [LINK]

介入主義の本質は、没収と分配である。その根底にある考えによれば、豊かな人々の所得と富は、豊かでない人々の状況を改善するために自由に使うことができる財源である。それは永遠に搾り取ることのできる無尽蔵の泉だ。この泉が枯渇すれば、介入主義の教義はすべて崩壊する。
Mises Explains the Santa Claus Principle | Mises Institute [LINK]

企業家や資本家は、資本主義が繁栄していた時代には自由主義で特別な利益を守っていたが、今は介入主義で利益を守っているというのは、まったく成り立たないマルクス主義的な見解だ。企業家にはつねに、介入主義によって守られ、自由主義によって損なわれる特別な利益がある。
The Myth of the Failure of Capitalism | Mises Institute [LINK]

2025-04-28

国家は損得で動く

アーロン・ソブザック(ジャーナリスト)

対外介入論者はロシア、イラン、中国など敵対国の行動を、米国が十分に行動しなかったせいだという。国際社会の主体をおとぎ話のような善と悪に分類する。実際は、いかなる政府も利己的な考えから行動し、イデオロギーはその行動を正当化し、政治的支持を得る道具でしかない。
Realism as a Libertarian Foreign Policy | Mises Institute [LINK]
対外援助を削減しようとするトランプ大統領の試みは軍事支援に触れていない。イスラエル、ウクライナ、台湾などが主な支援先だ。大統領は最近、イスラエルに10億ドルの軍事装備と武器を送るよう命じた。この支援は米国を外国との紛争に巻き込み、政治家や国防請負業者を潤す。
Cuts to Foreign Aid Are a Good Start | Mises Institute [LINK]

トランプ大統領はウクライナの和平で私利私欲が頭にある可能性が高い。鉱物資源協定で経済的な利益を得るかもしれない。だがすべての政治家は利己的な考えを抱く。バイデン、ゼレンスキー、欧州の指導者も、どんな美辞麗句を並べようとも、公共選択の落とし穴と無縁ではない。
Russia and Realpolitik: Making Sense of the Trump-Zelensky Clash | Mises Institute [LINK]

バイデン政権最大の外交政策の失敗は、イスラエルによるガザ攻撃などを抑えられなかったことだろう。米大統領なら誰でも、テロ行為に報復するイスラエルの権利を支持しただろう。しかしバイデンは、ガザの市民が爆撃されるなか、イスラエルに記録的な額の援助と武器を与えた。
Joe Biden’s Failed Foreign Policy Legacy | Mises Institute [LINK]

中国がアジアでの影響力を自制するよう期待するのは現実離れしているし、全面戦争になれば米国自身やその他諸国に壊滅的な打撃を与える。対中攻撃をけしかけるのは危険である。経済制裁は効かないし、大国は私利私欲のために行動する。米国に中国との敵対を促すべきではない。
The Fentanyl China Bogeyman | Mises Institute [LINK]

2025-04-27

木村貴の経済の法則!(2025年、随時更新)

  1. 「イカゲーム」が語る2025年経済のキモ 資本主義はゼロサムじゃない(2025/1/6*臨時解説
  2. 経済って何だろう? 自然に生まれる秩序の不思議(2025/1/10
  3. 個性は分業を生み、繁栄をもたらす アダム・スミスは何を見落としたか?(2025/1/17
  4. 超人ヒーローも取引で得をする 比較優位って何だろう?(2025/1/24
  5. 公共事業の見えないコストとは? トレードオフと機会費用で考える(2025/1/31
  6. お金を刷っても楽園はできない 希少性って何だろう?(2025/2/7
  7. ダイヤは水よりなぜ高い? 限界効用で考えよう(2025/2/14
  8. 幸せの指針、心のランキングとは? 満足度は「量」でなく「順序」に注目(2025/2/21
  9. 経済に「等価交換」は存在しない 価値が違うから、取引は生まれる(2025/2/28
  10. 金が再びお金になる日 価値保存の力、輝き増す(2025/3/7
  11. 政府が金を没収する日 大恐慌の米、「非常事態」口実に強行(2025/3/14
  12. フォートノックスに金はあるのか? 米金融最大のタブー、市場の波乱要因に(2025/3/21
  13. 米政府がデフォルトした日 黒歴史、なぜ「なかったこと」に?(2025/3/28
  14. トランプ関税、大恐慌の影 世界貿易、縮小のリスク(2025/4/4
  15. ドルの衰退、保護主義で加速 金の存在感、一段と(2025/4/11
  16. 財政破綻より怖いものとは? Nスペ「国債発行チーム」の正しい見方(2025/4/18
  17. 「双頭の怪物」スタグフレーション、日本が退治できない理由(2025/4/25

2025-04-25

古典的自由主義は十分過激

リバタリアンと古典的自由主義者は相容れないという主張がなされる。これは歴史的な検証に耐えない。19世紀後半に自由主義の大御所だった仏経済学者モリナリは政府の必要性を否定し、英哲学者スペンサーは国家を無視する権利について無政府主義的な論文を書いたことで有名だ。
Why We’re Stuck with the Term “Classical Liberalism” | Mises Institute [LINK]

ハイエクの自由に関する法的制度の説明は、一種の英国中心主義を映している。イタリア共和国、ドイツの自由都市や、コンスタン、バスティアらフランスの自由主義者に至るまで、自由の法的伝統は英国のロック、コーク、権利章典よりもずっと以前から欧州大陸全域で栄えていた。
Beyond England: A Classical Liberal Critique of Hayek’s “The Origins of the Rule of Law” | Mises Institute [LINK]

自由主義は通常、最も広い意味での市場、つまり自発的な交換のネットワークが、持続的な制度や風俗を生むよう期待する。一方、保守主義は生命、自由、財産の単純な保護を超えた、特に宗教に対する支援を含む、不可欠な基盤が国家によって提供されなければならないと主張する。
What Is Classical Liberalism? | Mises Institute [LINK]

地方分権と権力分立は欧州史の特徴だ。ローマ帝国滅亡後、大陸を支配する帝国は現れなかった。欧州は競合する国家、公国、都市国家の複雑なモザイクとなった。支配者は互いに競争した。略奪的な課税や恣意的な財産没収に手を染めれば、生産性の高い市民を資本とともに失った。
The Rise, Fall, and Renaissance of Classical Liberalism | Mises Institute [LINK]

古典的自由主義の柱の一つは平和だ。戦争が好きであってはならないし、戦争が起こったとしても、英雄視してはならない。戦争は経済に良いといわれるが、実際はつねに資源の配分を誤り、破壊する。勝者でさえも敗北する。ランドルフ・ボーンいわく、戦争は国家の健康法である。
An American Classical Liberalism | Mises Institute [LINK]

2025-04-23

戦争の隠された代償

戦争経済で中央当局は敵を全滅させるため不換紙幣に頼る。不換紙幣は、戦争の真の代償を個人から隠す完璧な道具である。国の資本を流出させ、国を破滅に追い込む。戦争はつねにマイナスサムゲームだ。戦勝国も含め、誰もが失う。自由だけでなく、将来の繁栄を唯一確かにする資本主義の構造も失うのだ。
The True Cost of War | Mises Institute [LINK]
インフレは、戦争の莫大なコストを政府が国民から隠蔽する第一歩である。インフレによって現実の経済作用が覆い隠されることがなければ、国民は金利高騰、株式・債券相場の急落、企業倒産や銀行経営不振の拡大によって、戦争の栄光なるものへの熱意を急激に冷ますことになる。
War and the Money Machine: Concealing the Costs of War beneath the Veil of Inflation | Mises Institute [LINK]

戦争の大きな代償の一つは、勝者も敗者も同様に長期にわたり自由を失うことだ。死傷者数という明白で直接のコスト以外に、悪夢や負傷とともに生きる退役軍人の生涯の苦闘。インフレ、借金、税金といった長期の隠れたコスト。そして文化、道徳、文明一般にもたらす損害である。
The True Costs of War | Mises Institute [LINK]

米国の戦争は、すべて自由を守るために行われてきたとされる。実際には、政府権力を拡大させてきた。経済の自由を侵食し、通貨を劣化させ、政府債務を増大させ、アメリカ共和国本来の政治構造を根本的に変えてきた。戦争の結果、米国人の自由は守られるのではなく、失われた。
Costs of War, The | Mises Institute [LINK]

議会は増税して財政赤字を避けることもできるが、政治家はそれを好まない。一方、財政赤字による支出は、政治的に実行可能なことが多い。真のコストは将来に繰り延べられるか、インフレのベールに隠されるからだ。政治家は多額の赤字支出のため、中央銀行の助けを必要とする。
How the Fed Is Enabling Congress's Trillion-Dollar Deficits | Mises Institute [LINK]

2025-04-21

国債は自由主義に反する

将来の納税者は、今できた政府の借金を増税やインフレによって返済するよう強いられる。したがって国債は事実上、まだ生まれていない国民を奴隷化し、彼らが同意していない義務を強いる。これは自発的交換や財産権不可侵など自由主義の根本原則に反する。
Mises and Rothbard Understood the National Debt | The Libertarian Institute [LINK]

有権者や納税者には、政府をデフォルト(債務不履行)に追い込むよう脅す道徳的義務がある。将来世代や、戦争などの大盤振る舞いのために積み上げられた、昔の借金を返済するために大金を支払う、すべての人々に対する義務なのだ。政府はもっと頻繁に身の丈にあった生活を強いられるだろう。
Defaulting on the Debt Is the Moral Thing to Do | Mises Institute [LINK]

国債発行は本質的に不道徳である。権利侵害であり、支払いを拒否すべきだ。お金を納税者から政府の債権者へ無理やり移転させる。債権者は、返済が納税者からの不本意な移転であることを十分承知している。返済する道徳的義務はない。債権者は政府と同じく道徳的な責任がある。
Should Local Municipalities Default on Their Debts? Seems Like a Good Idea | Mises Institute [LINK]

政府のデフォルトは、社会の生産的メンバーに対する税金を減らし、有益である。国債に多額の投資をしている人々は損失のリスクがあるが、政府資産を移転し軽減できる。年金を通じ国債を保有せざるをえない人々の失われた所得を補償することは、道徳的な理由から否定できない。
The Economics and Ethics of Government Default, Part II | Mises Institute [LINK]

トランプ大統領と共和党が承認した新たな予算案には、今後数年間で政府支出全体が減少することを示唆するものは何一つない。確かに共和党は「10年間かけて」支出を削減すると約束しているが、過去30年間の状況を少しでも注視してきた人なら誰でも、それが決して実現しないことはわかっている。
Federal Spending Is Only Going Up: Trump Pushes Trillion-Dollar Defense Budget | Mises Institute [LINK]