2022-01-30

スコラ哲学者の暴君批判

自由主義の原理の多くは16世紀、マリアナらスペイン黄金時代のスコラ哲学者によって体系化された。マリアナは政府の通貨操作を批判し、物価高騰を起こしたと責めた。また国王は市民の財産を所有していないと強調し、すべてが自分のものだと信じる王は暴君だと主張した。(J・R・ビジュエイラ)

イタリアのジェノバ共和国は、政府が財政難に陥ると、海外の領土を担保にしてサン・ジョルジョ銀行から資金を借りた。銀行は数年間、政府が借金を返すまでその領土を治めた。サン・ジョルジョ銀行の経営は手堅かった。独立性を強めるため、政府関係者の入行を拒んだ。(ローレンス・リード)

ローマ帝国の歴史が伝える経済の教訓は、価格の安定だ。金、銀、銅、真鍮の硬貨の交換比率が法令で決められていた。領域内に硬貨と交換比率が広く普及したことで、硬貨を物理的に運ぶ必要がなくなり、商業が大きく促進された。硬貨の代わりに小切手を持ち運べたからだ。(ジョージ・マー)

イタリア半島のサンマリノは世界で唯一、人口より多い自動車を保有する。一人あたりGDPも上位に入る。1700年の間、最も自由で寛容な国の一つだ。政府の長である執政は常に二人で、任期は六カ月のみ。法人税率は伊、EU平均より低い。キャピタルゲイン税率はわずか5%だ。(ローレンス・リード)

2022-01-24

ファシズムは反資本主義

ファシズムは社会主義と違い、生産手段の国有化を拒否した。このため左翼は、ファシズムは資本主義の極右形態と思い込む。しかしファシズムはムッソリーニが言うように、反社会主義であるより、はるかに反資本主義だった。企業の所有は民間に残し、政府が指示をした。(トム・ミューレン)

1930年代、反資本主義の風潮に乗り、米国ではヒトラーさえも称賛された。同様にヒトラーとムッソリーニは、ルーズベルト米大統領のニューディール政策をほめ称えた。ニューディールは独伊ほど全体主義的ではなかったものの、経済を行政官僚の独断的な命令に従わせた。(トム・ミューレン)

1942年、11万人の日系米国人が強制収容所に投げ込まれた。理由は親が敵国の出身というだけ。いかなる適正な法手続きも認められなかった。これらの市民が最も権利を必要とするとき、米政府はそれを奪ったのだ。もし誰かが奪えるなら、それは権利ではない。ただの特権だ。(ローレンス・リード)

ジェンティーレはムッソリーニとともに「ファシズムの原理」を執筆した伊哲学者。ヘーゲル、ニーチェ、マルクスから影響を受けた。彼によれば、「ファシズムは最も実行可能な社会主義」である。個人のあらゆる行動は社会に奉仕するべきだと考え、個人主義に反対した。(エマニュエル・リンコン)

ローマ皇帝の多くは人殺し、独裁者、盗人、異常者だった。課税と通貨改悪で人々を苦しめ、外国侵略と福祉国家に費やした。数少ない賢帝の一人とされるマルクス・アウレリウスはその治世にキリスト教徒の迫害を強め、その息子コンモドゥスは血に飢えた誇大妄想狂だった。(ローレンス・リード)

2022-01-22

敵は商売になる

米国務省は、ロシア系メディアのRTやスプートニクがロシア政府の立場を擁護しているという。しかし米メディアこそ、米政府の果てしない海外軍事介入を擁護している。メディアは自分が仕える政府同様、敵に取り憑かれている。敵は商売になる。アクセス数を稼げる。(ダニエル・マカダムズ)

政府指導者が国を封鎖し、これが未知のウイルスから守る唯一の方法だと言ったとき、人々はそれを信じ、命令と隔離に従った。抵抗し懐疑を唱えた少数の人は利己的で危険だと非難され、発言を封じられた。人々は緊急事態に慣れ、周囲に牢獄の壁が築かれたのに気づかない。(ジョン・ホワイトヘッド)

米連邦政府は2017年だけで5000万もの公文書を機密扱いにした。納税者の負うコストは推定180億ドル。第一次世界大戦以来、膨大な文書が今も機密のままで、国民は閲覧できない。キング牧師に関する文書は暗殺後50年以上たった今も少なくとも1万7000ページが機密のままだ。(パトリック・エディントン)

2022-01-21

コロナ物語の嘘

すべて嘘だ。ワクチンは感染を止めなかったし、感染を緩やかにさえできないとわかった。ウイルスは接種済みの人に急拡大している。もはや感染を防ぐふりすら無理だ。ワクチン推進派は重症化や死亡を防ぐという。だがコロナの消えない理由が非接種者でないのは明らかだ。(ライアン・マクメイケン)

政府公認のコロナ物語は今や風前の灯だ。専門家や当局者は認めようとしている。コロナ死と入院の統計は最初からわざと水増しされ、まったく信用できないと。ワクチンは役に立たず、数人の、いやもしかするともっと多くの命を奪ったと。都市封鎖は深刻な誤りだったと。(CJ・ホプキンス)

国家や世界に関する市民の考えを支配することは、支配者にとってきわめて重要だ。それ以外の方法で私たちの投票、行動を支配できないし、選挙で選ばれていない富豪と政府の情報機関との緩やかな連合によって市民が搾取・抑圧されるかどうかも、思考の操作次第だからだ。(ケイトリン・ジョンストン)

環境活動家は70年代、地球寒冷化の脅威を唱え、責任は資本主義にあると言った。90年代、地球温暖化が告発され、犯人はまた資本主義だった。今世紀、気候変動について今度も市場経済が責められた。将来、宇宙人が地球を征服したら、やっぱり資本主義が非難されるだろう。(ウォルター・ブロック)

2022-01-13

民主主義と大きな政府

Against Leviathan: Government Power and a Free Society (English Edition)

世論調査によると、米国民の大半は大きな政府なしの生活を考えることができない。今の政府は大きすぎ、でしゃばりすぎだと漠然と思ってはいるものの、いざ特定の政策について尋ねてみれば、圧倒的多数がそれを支持するばかりか、拡大まで求めるのだ。

欧州は社会主義政権が多いだけに、政府の縮小はなおいっそう望み薄だ。ブリュッセルではEU官僚が規制のバベルの塔をいよいよ高く築き上げている。

たとえ国民が政府の拡大を求めなくても、現在の利権政治が当たり前に運営されれば、嫌でも政府を押しつけられることは確実だ。

現代の代表民主主義の経験からすれば、いったん何か政府の政策が始まれば、廃止はほぼ不可能である。たとえその政策が全体としてどれほど有害で、国民に不人気だとしても。

以上、次から翻訳。
Robert Higgs, Against Leviathan: Government Power and a Free Society